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医療広告改正から考える病院のビジネスチャンス

UPDATE

2018.09.27

街の中で見かける医療広告。これまでよく見かけるのは、駅や電柱(今や都心では地中化され見かけなくなりましたが)ではないでしょうか。しかし、どの広告をみても、皆同じようなことを記載してあり、心に響かないなあと思われた方も多いでしょう。これは、昭和23年制定された医療法で医療広告は厳しく制限されていたからです。制限の理由は、医療情報は提供者と受給者の知識判断に関するギャップが大きい、生命に影響するサービスであるなどです。

近年情報化社会により、街中の広告からホームページなどITを用いた広告が盛んになっているのは言うまでもありません。しかし、つい最近まで、ホームページは、患者が主体的に選択してアクセスするものとして『広告』の規制対象外だったのです。ある程度自由にホームページでの広告が可能でした。ところが、時代背景の変化により2012年に「医療機関ホームページガイドライン」による自主規制を設け、今年、6月1日からは「ウェブサイトは広告である」とみなされることになり、規制の対象になったのです。違反した場合は都道府県による行政指導や立入検査が行われることになります。

 

一方、翻って、患者は何をもって病院を選ぶのか調査をしたものがあります。2018年の受療行動調査によると、家族友人知人の口コミが70%と多く、次いで医療機関が発するインターネットの情報が20%強となっています。今後、さらにインターネットからの情報は広がっていくと思われます。インターネットを用いた広告は、世界中にむけて広告が可能となりますが、その内容は規制の中で考えなければなりません。ガイドラインでは、広告してよいことと、禁止事項を設けています。具体的には、広告可能とするものを決め、決められていない事項の広告はダメ 他の医療機関との「競争優位性」を示してはダメ 治療効果に関する「患者体験談」はダメ 治療効果の「ビフォア・アフター」はダメなどです。

 

今後は、この規制の中で、自院の強みをどう示すかが課題になってきます。患者の検索ニーズは高まる一方、規制のある中でどのような情報を発信するかですが、

今までは、事務の方が片手間にやっていた作業ではなく、専門的に広報戦略を実施する人材が必要になってくると思われます。また、単にウエブサイトを作って終わりではなく、更新の頻度を上げた発信が必要になるでしょう。最も重要なことは、院内には様々なデータが多数あります。病院によって、患者数、在院日数、手術件数など掲載しているところもありますが、患者にとって有益なデータの出し方というものがあると思われます。規制の中で、どのようにデータを示すのか、それには、行動科学、心理学、マーケティングなど、いろいろな学問、スキルを用いた発信が必要になってくると思われます。

田中智恵子