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患者家族として③~在宅より~

UPDATE

2018.10.11

病気で1年以上入院していた私の身内(文中では患者と表現)が、無事に今年の夏前に自宅退院した。

以前も書いたが、入院していた病院は大きな急性期と呼ばれる病院(以下X病院)である。退院後の計画は、退院日に自宅にケアマネが来て、まずは直近1カ月の計画を作ってくれた。この時点の患者状態について簡単に書くと、食事は、おかゆなどの噛まなくても食べられるもの、歩行は一人で可能だが長距離は困難、入浴は気管切開や経腸栄養の管がある関係で、ある程度の介助が必要という状況であった。退院後の計画は、月1回X病院への定期受診と日常的な管理として訪問看護週2回とヘルパー週1回の支援をお願いすることになった。患者は独居ということで、月一回病院へ行くのも大変だと思ったが、疾患の性質上在宅医の対応は困難であり、病院の専門医への受診が必要ということであった。このような中での訪問看護やヘルパーによる支援は、患者家族として非常に心強かった。

退院後しばらく大きな問題もなく過ごすことが出来たが、今年の夏場は酷暑ということもあり患者は体調が不安定になった。全身の倦怠感みたいなものは常にあるようで、肌の色も非常に良くない(ちなみに、この患者の病気は皮膚に症状が顕著に出る)。たまに顔を出す息子の私から見ても明らかに体調が悪そうだった。本人と話をすると、「訪問看護が来て、肌の具合をスマホだかデジカメで撮影し、おそらく主治医と共有してくれているから・・・なので月1回の受診日までは様子見」なのだと言う。結局、体調が良くないまま月1回の受診日を待ち、そこで対応してもらった。

後日、訪問看護の担当者と話をしたら、写真は撮影しても医師とは共有していない。「X病院はこういう対応をしていないのよ」と言う。それどころか、症状が良くないことも主治医には伝わってなかったらしい。訪問看護の担当者(看護師)は「私たちは体調の異変を感じたら早期受診を促すことしか出来ないのよ」とも言っていた。何のための訪問看護で何のための撮影なのだろうか?写真は看護記録にでも貼り付けるためであろうか?受診を促すことなら僕にも出来るし、場合によっては連れていくことだって出来る、と思ってしまった・・・。

最近、遠隔診断の話題をよく耳にする。診療報酬の問題などもあり普及には時間がかかりそうだと言うが、確かなニーズがある気がしている。

坂尾英明