社長ブログ

by 遠山 峰輝

BLOG遠山峰輝のつづる日常

  • UPDATE

    2018.10.21

  • ESG経営と病院

    最近、ESG経営という言葉が使われる。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、 ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので あり、企業が中長期的な成長を目指すためにはこれら 3つの視点が重要であるという考えである。企業は売り上げや利益など個々の財務的な数値を追いかけるだけでなく、社会的な貢献をせよということであると考えてもいいのかもしれない。

    先日、ビジネス誌を読んでいて、味の素のESG経営に関して述べられていた。味の素のユニークな点は、このESGという考え方を数値で見える化して具体的な目標として掲げていることである。「社会貢献」はどの企業も言葉では話すものの、味の素はそれを具体的な数値目標としてあげていることがユニークである。

    味の素はESG経営を「社会価値」という言葉で表し、それを具体化している。例えば、「1世帯あたりの年間70回の共食の場づくりに貢献」、「簡単に調理できる商品によって1世帯当たり年間6時間を創出」などだ。一見、こんなデータをどう集めるのかと思われる方も多いと思うが、実際にかなりの努力の末、データを収集して分析をしているということである。さて、このようなESG経営を具体化することによる効果は大きく二つあるという。一つは社員の求心力となる点。共感しやすい目標を作れば組織力が高まるということである。もう一つは、これらの目標を明確にすることで、自分たちでできることとそうでないことを区分けすることができ、結果、どういうところと提携すればいいのかなど戦略が明確となることである。

    そんな目で医療界を見てみるといろいろ考えさせられる。病院ほど「社会貢献、或いは地域貢献」を当たり前のように掲げている業界も少ないのではないだろうか。病院にいって経営理念なるものを見ると、どの病院も「地域医療に貢献する」と書いてある。どの病院にもあるから、面白くもなんともない。問題はここからだ。では、地域貢献度を測っている病院はどのくらいあるのだろうか?以前、弊社ではある大学病院の地域社会への貢献度をGDPや雇用創出という点から見える化してレポートしたことがある。ここまでやらないにしても、意識を変えるだけで、この視点を持つことができる。例えば、「当院は救急車2000台を達成!」というのではなく、主語を地域住民に変えてみる。「地域住民の年間5000件の救急ニーズの約40%が、当院により満たされた」。同じことだが、目線が異なる。でも大事なことのように思える。また、味の素と全く同様であるが、病院の職員の求心力を高める上でも、地域医療連携を具体化するためにもこの地域貢献を見える化することはとても重要であると思う。病院こそ、ESG経営を取り入れるべきである。

CATEGORY

  • カテゴリーなし