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病院の働き方改革は今後どうなるか

UPDATE

2019.07.25

先日新聞で読んだのですが、千葉県市川市とコンピュータソフトウエア会社サイボウズが連携し、クラウドソフト「キントーン」を使った業務効率化を推進するようです。

サイボウズのキントーンといえば東京スカパラダイスオーケストラやスイミーの写真を使った広告を電車の中でよく見かけていて印象的ではあったのですが、同社は自治体の業務改善は初で今後は全国の自治体に拡大したいと考えているそうです。

 

働き方改革が声高に叫ばれている中で一般企業だけでなく自治体も大きく変化しようとしていますが、医療の現場ではどのような動きがあるのでしょうか。

調べてみると生産性向上の取り組みとして、どの科でも自由に使える診察室(フリーアドレス診察室)と持ち運び可能な電子カルテ(クラウド化)を導入している病院があるそうです。これにより、スペース、人員、時間の効率化を達成しており、それだけでなく診察室、待合室のデザインが美しくもあり、雑誌に取り上げられたりもしていました。

 

丁度先週、「医師の働き方改革を進めるためのタスクシフティング」に関するヒアリングが医師会、看護師会等を対象に厚生労働省により実施されました。このタスクシフトは多くの有資格者から構成される病院ならではの議論だと思います。現場の方々からは賛否があるようですが、私自身は病院経営という視点でみるとメリットはあるかと思います。

 

例えば入院患者をさらに増やしたいが医師あたりの生産性は比較的高く、しかし医師を増員する余裕はない。このようなケースですと医師あたりの生産性をあげる(医師でなくてもできる業務を削る)という方法が必要かと思いますし、現在でも医師事務作業補助者や特定看護師といった存在が医師の負担軽減を担っていますが、このタスクシフトの推進が医師の業務効率化の可能性を広げるように思います。

 

今回のヒアリングでは医師以外の職能団体(コメディカル)からは「逆にこの仕事を任せてほしい」という声もあがっているようで、向上心の高さが伺えます。タスクシフティングは医師の働き方だけでなく、病院スタッフ全体の働き方、モチベーションにも影響を及ぼすように思え、今後の動向に注目したいところです。

井上和樹