社長ブログ

by 遠山 峰輝

BLOG遠山峰輝のつづる日常

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    2020.02.16

  • コンサルタントの責任

    先日ある自治体病院クライアントで新たな建築計画に対する妥当性評価を実施した。その建築計画を策定したのは同業である病院経営のコンサルティング会社である。計画では十分な投資対効果が期待できるようになっており、Goサインが出ているのであるが投資金額が大きいことから念のためという趣旨での依頼であった。早速、検証に取り掛かった。売上の計画は妥当なのか、コストは理に適っているかなどが検討の重要なポイントとなるべきであろうが、それ以前の問題として、基礎的な計算間違いが発覚した。計画では十分すぎるリターンが見込まれていたが、計算ミスを修正したところ、大赤字の計画であることが判明したわけだ。なんとも稚拙な問題である。

    こんなことがあるといろいろ考えたくなる。コンサルタントの責任とは何か?本件の最大の問題は、そのようなコンサルタントのミスを発見できず、Goサインを出した自治体に問題があるとも考えられるが、しかし、結果的には検証の必要性を考え、建築計画をストップ、或いは見直したとなれば(その予定)、それは最終局面における英断と考えることができる。

    それよりも問題はコンサルタントのアウトプットである。単なる計算ミスで片付けられる問題ではないであろう。あまり言いたくないことではあるが、これが民間病院など投資金額の重要性を十分に理解できるガバナンス体制を持つ組織であれば、単に、バカなコンサルタントとなり大きな問題ではない。しかし、自治体病院ではこの当たり前のガバナンスが働きににくい。「コンサルタントが立てた計画によれば十分な採算性が取れることになっている」ということがまかり通ってしまう。今回のような検証が求められるケースはおそらく希であろう。自治体病院の病院建築、ここには多額の資金が税金で投入されている。その中にはコンサルタントに計画立案を依頼しているケースも少なくないはずである。コンサルタントの立てた計画で、飛んでもない投資が行われている実態は決して無視できない。

    我々もプロのコンサルタントとして、コンサルタントの責任とは何かに関して、身を引き締めて考えなければいけないと改めて考えた。

    遠山峰輝

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