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人材の評価はどこからやるか?

UPDATE

2020.08.27

医療機関の収入アップも楽観的ではない中、コストに目を向け改善に着手する医療機関も多いのではないか。

とりわけ、コストの大部分を占める人件費については、その大きさや過去からの伸び、未来への伸びなど不安材料も多いと思う。人件費の問題は、一人当たりの給与費問題や人材の適正配置など比較的難題であり、これらをどう解決していくか活発な議論が交わされていることであろう。これらの話をしていると必ずと言っていいほど人材の適正評価に関するものが聞こえてくる。これは、“人材採用”→“教育”→“評価”(目標設定含む)→“処遇”といった一連のサイクル(ここではこのサイクルを人事制度と呼ぶ)の中の一つの要素となるのだが、この人事制度の導入が、人件費の伸びの抑制や優秀な人材の流出防止に繋がると考えられるからであろう。これら人事制度を作りこむことは結構な時間と労力を要するため、実施するには覚悟が必要であるが、近年着手する医療機関も増えてきているのではないだろうか・・・しかしながら、なぜか医師の評価は抜きか後回しである。

ある医療機関の支援をする中、医師の評価を開始する。目的は明確で経営の安定化のため、医師をしっかり評価し働いてもらう。働きの鈍い医師は、それなりに自覚してもらい奮起してもらうためだ。その評価軸は5つ。「利益貢献」「地域貢献」「チーム医療」「研究」「指導」である。なお、「地域貢献」は「紹介」や「救急」に関する指標であり、「チーム医療」は一緒に働く職員複数名からの評価であり「サンクスカード」的なものである。ネガティブなものを集めるのではなく、ポジティブな意見を集め、感謝や働きやすさなどが多いほど加点される。これらを数値化し、重要度に応じて重みづけを行った上でランキングする。おおよそ思った通りの結果になるので幹部の納得感もある。なお、これらは当面は賞与に反映するのだが、いずれは次年度給与を決めるためのツールとする予定である。こうして、何とも評価しにくい職員からではなく、評価をしやすいコアとなる人材から評価することは経営する側としては正しい判断ではないだろうか。生産性の低い医師を抱えながら順風満帆な病院経営の絵(ビジョン)を描けるほど簡単な世界ではない。本来最初に着手すべきは、医師の評価からではないだろうか。

 

坂尾 英明