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マネジメント研修【病院の破棄薬剤費:入院患者に処方されたが内服せずに破棄となる薬剤はなぜ発生するのか】

UPDATE

2020.11.13

弊社では、病院職員のマネジメント能力の実践力の強化として、ロジカルシンキング(問題解決スキル)を用いた研修を行っています。

弊社の研修の特長は、

1.マネジメントスキルを実践的(部署の課題解決)に学ぶ

2.チーム単位で学ぶ

3.成果を数値で示す

4.優秀な発表は学会発表まで支援する

があります。

 

実践課題は、現場の現在の課題を抽出したもので、その課題の問題解決を研修で行います。

今回、某病院で取り組んだ事例の中で、病棟内で処方された薬の破棄薬についての報告です。

 

一般的に、病棟では、病棟毎に処方日が設定されています。

処方日には、処方薬の指示受け、処方薬を配薬する準備、申し送りなど、様々な処方に付随する看護業務が発生します。

病棟の入院患者に対して一斉に処方されるため、医師が決められた処方時間を守って処方をしてくれないと後工程が長引くことが多く、これが看護師の残業時間につながることはよくあり、ほとんどの病院ではそれが問題になっています。

 

今回のテーマは、医師の処方変更の方法による破棄薬と、それに伴う看護業務の作業時間の増加に課題認識を持って取り組んだ事例です。

 

この病棟は循環器内科、腎臓内科の病棟です。大学病院ですので、患者の状態に合わせ、投薬が変わることはよくある病棟です。しかし、調査してみると1ヶ月に6万円程度の破棄薬が発生していました。それに伴い発生する薬剤仕分け作業は約4時間/月でした。それだけではありません。複雑化した処方は、誤薬を起す原因にもなり、波及する影響は多種に及びます。

 

患者の病状により投薬が変更になるのは致し方ありませんが、看護師の分析によると、医師の処方の仕方により破棄を食い止め、且つ看護業務をあまり増やさない方法があるとのことです。

 

医師に破棄薬の金額とそれに付加される看護業務の時間数を提示し、対策(看護業務に優しい処方の仕方)を提示したところ、

医師は看護師の業務付加、破棄薬の金額が発生しているとは思っていなかった。

むしろ、処方の仕方には気を使っていた。すなわち、処方の後工程など想像もつかず、言われるまで想像もつかなかったとのことです。

 

DPCの病院では、この破棄された薬剤はコストになります。

外来で処方され内服しなかった薬のコストは社会的問題となっていますが、同様に病棟の中でも発生している破棄薬。

今後業務改善でどの程度抑えることができるか取り組んでいます。

 

田中智恵子