STAFF EYE'S

スタッフアイズ

STAFF EYE'Sスタッフアイズ

病棟の申し送り時間短縮事例

UPDATE

2020.11.26

看護師の問題解決研修で受講生が実際に実施した申し送り時間短縮の事例について記載します。

 

現状業務で解決する課題として上がったのは「準夜帯の巡視を17時」から開始できるようにすることであった。その課題背景で実際に起こっていたことは、①17時からの巡視が遅れることでその後の巡視が遅れる。②巡視が遅れることで、点滴の急速落下や急変、転棟転落などの発見が遅くなるなどの問題が発生していた。巡視が17時から実施できない理由として日勤から準夜勤への申し送りが17時に終了しないことであった。そこで申し送り時間を短縮し17時までに終了することを解決課題として改善活動を実施した。

現状課題を明確にするために、各メンバー・リーダーの巡視開始時間、申し送り内容、申し送り時間(開始時間と終了時間)、16時30分~17時30分の仕事内容、ナースコール件数、インシデント件数、日勤勤務者の業務終了時間、2交代勤務者、3交代勤務者、リーダーの受け持ち患者の情報収集時間のデータ収集を実施した。

データ集計、分析の結果として「カルテ記載してあることの申し送りが58%」を占めていた。日勤受け持ちから準夜への申し送り時間所有時間が平均10分であった。カルテ記載内容を省けば申し送りは5分以内の収まることがわかった。

17時に準夜巡視が開始できるようにするためにとして、「申し送り内容についてルール」を決めた。「カルテに記載してあることは申し送りをしない」「全体の申し送りでは、急変リスクのある患者、統一した対応が必要な患者について申し送る」「引継ぎ事項、カルテに記載が出来なった日中の用紙、カルテにかけないこと(患者の特性や対応など)を申し送る」

実施結果は、申し送り時間が平均10分であったものが全て10分以内で終了するようになった。5分以内にならなかった理由は新人に対して教育的関わりを含め申し送りをしていたことや、日勤が煩雑でカルテ記載が困難であったことが上げられた。17時から巡視実施は95%のスタッフが達成した。改善後のスタッフの評価としては、申し送りを短縮できたスタッフが88%。申し送りを短縮したことで準夜の巡視を、余裕を持って回ることができているが100%であった。

 

今回は研修として実施した問題解決であるが、研修でなくとも現場で日々の業務を実施することに流されるのでなく、常に「もっと働きやすくするにはどうしたらよいか」、「患者さんのところに行く回数増やすにはどうしたら良いか」等も問題意識を持って業務をすることで課題が見つかりそれを改善しようという意欲も生まれると思います。改善ステップとしては、①解決した課題は何か②どんなことがおきているのか③それを証明するためのデータ収集④データ分析⑤改善策の立案⑥改善策の実施⑦評価となります。

 

髙橋俊一