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地域医療構想

UPDATE

2020.12.25

地域医療構想が制度化された2014年は、2025年はまだまだ先のことと思っていたが、いよいよ遠い将来の話でもなくなった。

今年は、コロナ禍において色々な状況にあり、病院経営も難しかったであろうと思う。実際に弊社が支援している医療機関においても様々な意思決定にコロナの動向が大きく関わってきた。このような状況下ではあるが、果たして地域医療構想はどのように進んでいるのであろうか?

 

地域医療構想はご存知の通り、将来人口推計をもとに2025年に必要となる病床数(病床の必要量)を4つの医療機能ごとに推計した上で、地域の医療関係者の協議を通じて病床の機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制を実現する取組みと言われている。多くの地域で病床機能報告における“自主報告”と推計された医療需要のギャップを見ると「高度急性期機能」「急性期機能」が多く「回復期機能」が少ないような結果になっていると思う。このギャップについては、各機能に該当する患者が同一病棟内に混在している場合、当該病棟の中で一番数の多い患者数の機能を報告することになっているためというのも一つの要因であるため、慎重な議論が必要とされているのはご承知のことであろう。この辺の議論は一旦横に置き、自分の病院の必要病床機能を推計してみたくはないだろうか?

 

ある医療機関で実際の推計ロジックに従ってやってみた。前提としては、現在応需している疾患を前提として、それらの疾患の患者数の将来推計も組み合わせながら機能別の必要病床数を推計する。この算出には「今後医師の増員があれば・・・」というタラレバ話は組み込まない。当該病院の結果は、意味合いだけ言うと“病床規模は大幅に縮小”。その内訳は、「高度急性期機能」と「急性期機能」を大幅に減らし「回復期機能」を一病棟分程度増やすという結果であった。もともと当該病院の平均単価から推測すると急性期病床において回復期機能(含む地域包括ケア)に該当する患者が寝ていることは想像できたのだが、改めて数値でその規模感を見ると考えさせられるものがある。もちろん、状況も変わる可能性はあるし、地域医療構想ありきで病棟・病床機能を考えるものではないかもしれない。

しかしながら、こうして上位の入院基本料(高い看護基準)の病床に多くの治療密度の低い患者(低単価患者)が使用するということがどういう意味なのかお分かりになるであろう。

皆さまは自分の病院がこういう状況だったらどういう意思決定をしますか?

 

それでは、明るい来年を祈念して。良いお年をお迎えください。

 

坂尾英明