NEWS

お知らせ

NEWSお知らせ

イシューに向き合うということを考えた一年

UPDATE

この一年を振り返ると、「イシューに向き合う」という言葉の意味を、ようやく実感できた一年だったと感じています。データを確認し、分析を行い、筋の通った資料を作成できていれば、それで一定の役割は果たせているのではないかと考えていました。

しかし、実際のプロジェクトでは必ずしもそうはいきませんでした。数字は正しく、ロジックにも破綻はない。それでも、議論の場では要点が定まらず、会議後に何となく消化不良が残ることが何度もありました。今振り返ると、その原因の多くは分析そのものではなく、問いの立て方にあったのだと思います。

医療機関向けのコンサルティングでは、制度、現場運用、組織の事情などが複雑に絡み合っています。データは豊富に存在し、分析しようと思えばいくらでも切り口は見つかります。しかし、「何を明らかにしたいのか」「その結果をもとに誰が何を判断するのか」が曖昧なままでは、どんなに丁寧な分析でも現場では使われにくく、使われたとしても具体的な改善には結びつきません。

そうした中で、分析内容自体は正しいものの、その結果が次の判断や行動にどうつながるのかが分からない、という指摘を受けたことがありました。問いにきちんと向き合えていなかったことを、はっきり突きつけられた瞬間だったと思います。それ以降、分析に入る前に立ち止まるようになりました。本当に知りたいことは何か。そもそも、このプロジェクトで解くべき問いはこれで合っているのか。考えてもすぐに答えが出ないことも多く、難しさを感じる場面も少なくありません。

一方で、イシューを適切に設定できたときには、その後の作業の進み方が大きく変わることを実感しています。分析や説明が自然と整理され、議論も前に進むようになります。相手の反応が明らかに変わり、話が噛み合っていると感じる場面が徐々に増えてきました。

まだ試行錯誤の途中であり、常にうまくできているわけではありません。ただ、この一年を通じて、イシューに正面から向き合う姿勢は、以前よりも自分の中に定着してきたように思います。来年も、新しい手法や知識を身につけることを大切にしながら、まず問いを疑い、立ち止まって考える姿勢を忘れずにいたいと思います。

 

石川 翔也