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看護師の記録作成術?!

UPDATE

2021.05.27

最近弊社では、看護業務改善のプロジェクトが非常に多い。

先日、クライアントのスタッフの皆様に『業務改善のポイント』に関して伺った。「処置の回数が多い」、「食事介助が大変」等様々な意見を聞いたが、その中で特に気になったのは、「記録の効率的な記載方法がわからない」というもの。電子カルテなので効率的な方法はいくらでもありなのだが、「異常なし」のような文章を患者の数だけ手入力しているようで、勿体ない時間の使い方だなと感じた。

 

私は、前職は放射線技師だったが、思えば症例・最新機器・撮影方法の勉強会はあったが、“効率的”な撮影方法・機械操作方法なんて勉強会はなく、技師会でもおざなりであるように感じた。業務時間を短くする方法を部署内で考えると、『撮影ミスをなくし撮影枚数を少なくする』、『ポジショニングや画像作成を早くし時間を短縮』この2点に尽きた。つまりは、『スキルを徹底的に磨け』という、まさしく職人の世界であった。(それはそれで楽しかったが)ただ、技術となると、経験を積んだシニアの方が効率は良くなり、歴の浅いスタッフはなかなか生産性が上がらず、スキルの取得にも時間を要する。それにより短期的な改善は見込めなくなってしまうのは必然であった。

当時の自分は、救急病院で当直帯もかなり忙しく、どうにかして休む時間が欲しかったために必死で効率化の方法を探していた。結果として、ショートカットキーを駆使したり、医療機器メーカーと連絡を取って、手作業で15分くらいかかるものをボタン1つで終わるようなものに変更した。(密かに井上スペシャルなんて呼んでいたりした)自分が幸せなだけでなく、スピード重視の医師が当直担当医の時はすぐ画像が出てくるものだから喜ばれることもあり、密かに励みにしていた。

ポイントは、『①スキルと違い、効率的な操作方法は短期間で身につく』『②質を落とさず効率化できる(効率化と欠陥品は違う)』この2つである。

コンサルの世界にも、『コンサルの教えるエクセル術』という本が発売されており、ビジネスパーソン向けの講演会が開催されている。作業ツールの効率化は医療・ビジネスの世界で共通といえる。コンサルがエクセル術を覚える理由は、分析の質を維持したまま作業時間を短くし、本業といえる“考えること”に時間を費やすためである。一方、看護師も同様ではないだろうか。電子カルテを駆使することで、記録の質を担保したまま、処置やケア等にかける時間を長く確保することができる。結果、本人も患者も一緒に働くスタッフも満足である。一朝一夕で身につかない技術とは違い、即時性もある。書籍やweb講演にもしやすそうである。

単純に『コンサルのエクセルスキル』があるなら、看護の世界に『急性期病棟看護師が教える効率記録作成術!!!』が、コンテンツとしてあって良いのでは?とも思う。

 

井上和樹