社長ブログ

by 遠山 峰輝

BLOG遠山峰輝のつづる日常

  • UPDATE

    2021.10.31

  • パスを用いた治療方法の改善

    医療界にはクリニカルパス(クリティカルパスともいう、以下パス)という概念が存在する。これは横軸に時間軸(例えば入院日数)を用いて、疾患の治療プロセスをマッピングしたものである。治療の工程表と捉えるとよいかもしれない。最近、ある病院でこれを作成するプロジェクトを超久しぶりに実施している。患者も含めて一般人にしてみれば、「治療の工程表って、普通は存在するのではないの?これを作成するプロジェクトって?」と思われるかもしれない。家を建てる場合、工事の工程表を作ることは当たり前であることを考えるとそのような疑問を持つことはごもっともである。しかし、この常識的なことが医療界では必ずしも行われているわけではないのである。治療の工程表は全て医師の頭の中にあり、それはオープンにされない(見える化されない)。だから、看護師やコ・メディカルは次にどうすればよいか、いちいち医師に指示を仰ぐことになる。もちろん患者も次に何が行われるかわからない。正にまな板の鯉だ。さらに、医師の頭の中にある治療工程は全く同じ患者でも医師によって異なる。医師の中には「患者は千差万別である。だから工程表は作れない」という人がいるが、実は千差万別なのは医師である。

    さて、今回は、看護師の業務改善を大きな目的の一つとしてパスの作成を行っているのであるが(医師の指示をいちいち仰ぐ必要がないようにする)、実に楽しい。この作成は医師と話をしながら作るが、我々の武器はデータとロジックだ。まずは医師別に治療のバラつきを見てみる。ある検査を行う医師もいれば行わない医師もいる。このバラつきは患者にとって良いはずはない。だからどうすべきか議論して統一化する。また他病院のパスと比較してみる。リハビリを行うタイミングが遅いがどうすべきか?などなど。差し詰め、医師の医者になった気分である。最近は、病院経営の悪化もあり、プロジェクトはコストダウン、病床縮小など、お金に絡むものが圧倒的に多いのであるが、パスを用いて治療を改善するプロジェクトは楽しい。医療界で改革、コンサルティングを行うことの意義を感じることができるからである。

    遠山峰輝

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