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「ゼロベース」で考えてみる

UPDATE

2021.11.11

最近、とある医療施設のプロジェクトで新たな収益源の確保のために介護サービスの開設を検討している。その施設は都市部にあり、65歳以上人口も多い地域である。そんな環境の中、開設するか否かを判断するために検討材料を集める一環として、地域ニーズをケアマネージャーなどにヒアリングすることになった。

その結果、確かに需要はあるが「差別化要因がないと厳しい」との回答だった。これは、当該施設がある都市部において介護サービスの需要は一定数満たされていて、あとはシェアの取り合いになっている状況ということなのだろう。私はてっきり高齢者人口増加の現代において供給は追いついていないのではないかと予想していたので、これは意外な結果だった。

一方、肝心の差別化要因を創出するためにはどうすればいいのか…?という問いには、当然ながら明確な答えはない。自分たちでアイディアを出して考える必要がある。

アイディア出しに便利といわれているのが、「ゼロベース思考」である。ゼロベース思考とは、「既存の枠組みにとらわれず、目的に対して白紙の段階から考えようとする考え方の姿勢のこと(コトバンク参照)」である。多少奇抜でも良いのでとにかく制約を設けずにアイディアを出すことが大事だ。通所リハのプログラムを例に挙げると、“体を動かせるビデオゲームを導入する”や“暗闇フィットネスジムのようにカラフルな照明ありの部屋でダンスをする”など、意外と出てくる。

医療の現場にいながら既存の枠にとらわれない発想をするのは難しいと感じるかもしれないが、試みる価値はあると思う。「ゼロベース思考」はもちろん介護サービス以外の課題解決にも使えるので、もし打開策に行き詰っているなら実践しても良いのではないか。

私自身も、この記事を書きながらもっと積極的に使っていかなくてはと感じた。

 

河﨑 実涼