社長ブログ

by 遠山 峰輝

BLOG遠山峰輝のつづる日常

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    2018.08.26

  • イノベーションを拒む医療機関の施設基準

    世の中人手不足が深刻であるという。遠山の弟が経営する飲食店でも人手不足が新店舗出店を躊躇させる最も重要な要因だそうだ。このような中で一般産業ではいろいろなイノベーションが起きている。ロボットが接客するホテルまで出現ししているほどだ。人手に頼らない経営である。言いかえれば機械化/情報化などによる人員生産性の向上である。

    そんな中、医療の現場はこの大きな変革のチャンスから取り残されようとしている。最も問題なのは施設基準ではないだろうか。病院には様々な人員配置基準が存在する。或いは人員を手厚く配置すると加算が得られる仕組みがある。病棟における看護基準、或いはリハビリやコメディカル、もちろん分野によっては医師にかかわる人員基準も多く存在する。これは世の中の大きな動きと逆行している。いかに人を手厚く配置するかが医療界で求められているのに対して世の中はいかに人を配置しないが問われている。

    この背景にある医療現場の根本的な問題は、投入人材、或いは投入資源に対するアウトカム(成果)の評価の仕組みがないからである。市場原理が機能すれば、人材を手薄にすることでそのサービスの質が落ちれば顧客が離れる。だから少ない人手で高い質を維持しようと努力することになる。或いはサービスが多少悪くても価格を優先するという考えもあるであろう。いずれにせよ、そのアウトカムを市場が評価するのである。

    ところが医療はこの市場原理が働きにくいために、資源投入量でその成果を代替しようとしている。つまり頭数さえいれば質は担保できる。或いは頭数が少なければ質に問題があるというわけだ。この考え方は、市場が大きく成長して、しかも労働集約が当たり前の時代には概ね通用する概念かもしれない。しかし、今、市場が成熟し、人口或いは働き手が減少しており、数々のイノベーションが起きいる時代には明らかにそぐわない。医療現場に求められているのは、いかにアウトカムを落とさず少ない人員で対応、生産性を上げるかではないか。施設、人員基準はイノベーションを明らかに阻害する。アウトカム評価が重要であるということは言うまでもないが、それを待っているうちに世の中の変化から大きく取り残されるに違いない。

    遠山峰輝

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