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「気づき」を得るとは思わなかった件

UPDATE

2023.05.12

夕方の5時頃、次の約束まで30分くらいの余裕があったのでドトールに入った。

5人くらい座れる長椅子の前に丸テーブルがいくつかあるコーナーがあり、空席があったので、そこへ座った。椅子の背もたれ上部に高さ50cmくらいの横長の鏡が設置されているところだ。隣には高校生が二人、向かい合って座っていた。ボーとしていたのだが、あまりに私の隣に座る高校生が勢いよく話しているので、ついぞ耳を傾けて聞いてしまった。

ジャニーズの4人組グループ、SexyZoneの菊池風磨のファンのようで、お父さんは知りもしないから(私は知っている!)まったく理解のかけらも得られないこと。母や妹の前で、もし「風磨エロい」(彼女にとっては最高の誉め言葉らしい)と言ったらドン引きされそうな事。しかし、つい言葉を発してしまいそうになる事、を繰り返し話していた。そして勢い余って、TVに一緒に出ていたというジャニーズの先輩のことを「50代のジジイ(!)がひらひらを着て頑張って踊ってるのはどうかと思う」という話を始めた。おいおい私も50代だよ、確かにダンスの授業も当時はなかったし、踊れないけどジジイはちょっと言いすぎじゃないか?と心の中で思いながら、苦笑してしまった。

すると、その勢いよく話す高校生の向かいに座っていた高校生と目が合ってしまい、その子が申し訳なさそうな顔をした。(ような気がした)多分、50代のグレーヘアが隣に座っているというのに・・・ホント、すみません、という感じだった。その後もずっと話し続けている友人の前で、ちゃんとうなずいて、アドバイスまでしている姿に「偉いね。大人だね。」と思って見ていたが、5時半頃になると勢いよく話していた高校生が突然、全くもって自分のペースで「もう家に帰らなくちゃ」と言って、手荷物を持って、さっさと席を立った。ずっと話に耳を傾けていた高校生はそのあと、少し残ったコーヒーを飲んで、すっと立ち、きれいな立ち姿で壁の鏡を見ながら制服のリボンを直して、出て行った。

私も少し後に立ち上がったのだが、ふと思った。

(私の斜め前に座って)話を聞いていた高校生の顔は見えたが、隣のおしゃべりな高校生はどんな顔をしていたのだろうかと。実はこの高校生2人と私という3人の状態が一番よく見えていたのは、その話を聞いていた高校生だけだったのではないだろうか。たぶん隣のおしゃべりな高校生には私のことは全く見えていなかったのだと思う。(そもそも存在していないカテゴリーなのかもしれないが)

コンサルティングとはいろいろな視点でかつ物事をMECEに見ることが大切だ。「ジジイ」と発言したおしゃべりな高校生を、『周りが見えてない』と批判することもできるが、私もまったく同じ状況だった。話を聞いていた高校生の視点のように全体を常に意識できるように、コンサルティングでも日々研鑽したいものだと気づかされた事件だった。ちなみに、50代のひらひらジャニーズが本当にいるのかどうか?誰のことだったのか?は彼女の目線でしかないので、今でも気になっている。

米道利成