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スタッフアイズ

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会議が変わると意識が変わる

UPDATE

2019.08.09

もう10年以上前のことだが、病院の経営会議や運営会議の在り方にコメントをしたことがある。どういうことを言ったかというと、「収支を報告する会議で使用される資料が数値の羅列」「だらだらと説明」「ポイントが絞られておらず、良く分からない、メッセージがない」ということを弊社メルマガで書いたのである。確かに会議資料は毎月のことであり作成する側も大変であろう。エクセルシートで管理してそのまま会議に出すほうが楽なのかもしれない。そして、長年そのフォーマットに慣れている人達からすれば、それがいいのかもしれない。むしろ変えることのほうがストレスを感じることもある。

ある病院は、このことを問題視しており、会議資料の改革に取り組んだ。ちょうど私がお手伝いしていたこともあり、会議における収支報告はエクセルからパワーポイントに変更。紙も配布せずにスライド投影のみ。これまで数十枚の資料を数十人分配布していたわけだから、ある種の改革である。そこで表現される収支状況の数値は、計画対比で利益は収入と費用に分解し、収入は入院と外来に、そしてそれらを診療科別に患者数・単価・・・という具合にそれぞれ分解しながら報告し、当月の計画乖離の説明をその原因とともに報告する。さらに前月から課題として挙がっているテーマに関する活動の進捗管理を報告し、成果とともに評価し、状況によっては取り組みを変えるなどの議論が起こる(もちろんそれほど活発な討議というわけではないが・・・)。これは資料を作成する事務はなかなかの作業である。数値の乖離の原因を追究しておかなければ説明できないため、自ずと分析が必要になる。課題解決の進捗報告も実行してないと報告出来ることがなくなってしまうから毎月真剣だ。なお、通常この手の会議は部門長クラスもしくはその次のクラスのスタッフが出席するのだが、会議後の数日間のうちに部門会議や回覧で共有する仕組みをとっている。

これは、自分の病院の経営状況(数値)が分かりやすくなったことはもちろん、皆が自院の課題と取り組み状況の共通認識を持つことが出来、大きな意識改革にもつながっている。 そしてこの病院は、問題をキャッチするのが早くなったため、今では問題が起きるとすぐに主担当者が決められ、現状分析から解決策を立案・実行に移るという“問題解決型病院”になったのである。

坂尾英明