STAFF EYE'S

スタッフアイズ

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時間管理からの脱却

UPDATE

2020.06.12

緊急事態宣言が解かれ、街に徐々に人が増えてきた。弊社も先週、リモートワークから通常のオフィス勤務に戻ったのだが、一方で新たな取り組みとして、週に1-2回、リモートワークが許可されている。

一昨日の日経の記事で読んだのだが、リモートワークをしている人の7割が時間に追われていると感じており、していない人より10pointほど高いらしい。

話によると、リモートワークでのスタッフの管理を時間で行っている企業があるようで、例としてはパソコンのマウスの動きで働いているかを評価したり、zoomを常時接続状態にして、スタッフ全員の顔を画面に映して管理したりするそうだ。聞くだけで息が詰まりそうである。おちおち手洗いにも行けない。時間に追われていると感じている7割の人々もそのように管理されているのではないだろうか。もちろん、仕事を明確化せずに在宅勤務にしてしまうと、遊んでしまう従業員も出てくる可能性もあるし、自主性を重んじて全く管理をしないことも問題ではあるのだが。

そのような中、弊社ではスタッフの働き方を「時間」でなく「アウトプット」で管理している。各々のスタッフが自分のやるべきタスクを明確化、細分化し、自らが時間単位でやることを決め、共有のスケジュール帳に記載し、実行する。時間内にそれができたかも確認、フィードバックができるため、結果として自己の目標管理の能力が磨かれるというものだ。

文章だと、これはこれで苦しそうに見えるかもしれないが、実際やってみるとかなり働きやすい。「自分の出すべきアウトプットさえ出していれば、後は何をしてかまわない」というのは、生産性を高めようと努力するし、仕事のメリハリもつく。私には「時間管理」より「生産性管理」の方が合っているようだ。

話は変わるが、病院の働き方はどうか。私は以前病院に勤めており、そのころを思い出してみる。朝8時半から夕方5時半まで病院が開いていて、外来・病棟・検査室といった部署がある。そこに医師・看護師・コメディカル・事務員が配置されている。そこに拘束されている時間に対して最終的に給与が支払われるのだが、これはまさしく「時間管理」なのではないか。

弊社が職員の適正数を評価する際に、成果での評価(アウトカム評価)というものを行う。外来の医師の場合は一回の外来枠で診察した患者数、放射線技師の場合は検査数、リハビリスタッフの場合はリハビリ単位数などである。実はこの評価は重要で、進めていくうちに衝撃の事実が発覚する。例えば、『非常勤のA先生は外来で1日2人しかみていないのに、丸一日バイトした分のお給料をもらっている・・』『非常勤の医師だけで50人もいる・・・』といった具合だ。これらを現場の皆が認識し、驚いたりして、非常に面白い。もちろん全ての職員をやった分だけの給料(歩合性)にしろとは言うつもりはないのだが、アウトカムと給与、人員数、この3つのバランスを評価することは必要不可欠かと思う。

共通して言えることは組織内にスタッフを時間管理しようという意識が浸透していることである。アフターコロナをきっかけに「時間管理」からの脱却をし、アウトプットでの管理/評価へと徐々にシフトすべきなのかもしれない。

 

井上和樹