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個人の利益の増大化に対する思案

UPDATE

2023.06.09

最近ニュースを見ていると、個人の権利の増大と同時に、社会全体のバランスや公共の利益が崩れてきているといった問題をよく見るようになった。その分野は医療に限らないが、医療で言うならばコンビニ受診やモンスターペイシェントといった問題が顕在化している。これらの問題が発生した結果、他の患者への迷惑(患者同士の待ち時間の増大や診療機会の損失、気分を害するなど、他の患者の利益や快適さを損なうこと)や病院職員の心身の負担の増加や残業時間の増大を生んでいる可能性も高いのではないか。病院職員の負担増加は、結果として医療の質の低下に繋がる可能性がある。

 

実際にこのような問題に今まさに悩まされている病院も多く、このような問題について、病院としての対処も難しい部分が大きいと想像される。そこでどのような対処方法があるか調べてみると、香川県が実施している「地域医療を守るための宣言」というものが目に入った。よく知れた取り組みかもしれないが、この宣言は地域の医療環境の維持・充実を目指すものであり、この取り組みの主なポイントは以下。

 

■ 医療機関の維持・増強

■ 地域医療ネットワークの構築

■ 地域住民の健康づくり

■ 地域との協働

 

この宣言を具体的に見ていく中で個人的に良いと思った取り組みは、患者向けに適切な受診についてのポスターを作るというものであった。病院側の自助努力だけに目を向けるのではなく、もっと視野を広げて患者側にも配慮を求めるという点で新しいと思ったのだ。また、患者に向けて自分たちの要望をお願いするという、実際に行うことは意外と勇気のいることを実行している点も個人的には意味のある一歩だと感じた。この活動単体としての効果という視点ではどこまで有効か今はまだ分からないが、このような取り組みが香川県以外でも展開され、ゆくゆくは患者全体の利益向上や職員の働き方を変えていく一つの選択肢になれば良いなと思った。

 

河崎実涼